1956年
日本、万国著作権条約批准

著作権というのは、著作物、すなわち、小説や漫画、絵画、彫刻、音楽、映画、ソフトウェア、ホームページなどの作者に、その著作物から利益を得られる排他的優先権を認めるものです。
日本など多くの国は、世界で最初の著作権保護条約である、ベルヌ条約を批准しています。このベルヌ条約は、無方式主義。すなわち、著作物を製作した時点で、登録しなくても、公表しなくても、自動的に作者に著作権が認められます(※1)。
それに対し、特許のように専門機関に先に出願した方に権利を認めるのを方式主義といいます。この方式主義の著作権登録優先制度はアメリカや途上国の多くが採用していました。
しかしこれでは日本などで製作された著作物は、アメリカなどの方式主義では著作権が守られない可能性があります。そこで、万国著作権条約を結び、無方式主義の国の著作物でも、(C)+著作権者名+年号を付け公表すれば、方式主義の締約国でもその法制度に準じて保護されるというもの。
1955年9月に発効し、翌年日本は批准しました。
しかし、無方式主義のベルヌ条約はもっとも最初にできたもっとも強力な著作権法であり、また両方の条約に批准した場合、ベルヌ条約が優先され、しかもベルヌ条約を脱退して万国著作権条約を批准した場合、ベルヌ条約締結国から制裁が課せられることから、ベルヌ条約を採用する国が相次ぎ、ついには最大の方式主義国家だったアメリカも、1988年にベルヌ条約を批准しました。その結果、現在ではほとんどの国が無方式主義であるため、万国著作権条約の意義はあまり意味を持ちません。当然、(C)表記を付ける法的な意味も薄れてしまいました。
現在、ウェブサイトなどでキャラクターのイラスト等に(C)表記が付けられているのを見かけますが、これがないと著作権が認められないというわけではなく、著作権者が誰かを示す一種の警告でしかありません(※2)。

※1:映画などの著作権保護期間は「公表後」70年(創作から70年以内に公表されない場合は創作後70年)が原則
※2:創作した時点で自動的に権利が付与される今の著作権では、著作物に対して誰がその著作権者かわかりにくいため、その公表と侵害への警告の必要性が高い
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